ワインを選ぶ時には言うまでもなく作り手、作りかた、作られた
場所、畑(できればそのテロワールの性質)、葡萄品種、
ヴィンテージ、料理との相性などを考慮して選ぶのが正統派の
やりかたでしょう。そのためにはラベルは重用な手掛かりです。
ワインショップに行って、ラベルをじっくり眺めていると、
いろいろなメッセージが聞こえてきます。
特にロワールやローヌの有機ワインのラベルには個性的な
ものが多く、メッセージを読み、作り手さんたちとの無言の
会話を楽しんでいると、あっという間に時間が過ぎてしまい
ます。彼らは総体に大変お喋りです。
筆者もできるだけ試飲をしてからワインを購入するようにして
いますが、試飲のできない店頭では、ラベルと店側のアド
ヴァイスでワインを選びます。ただし名前だけで選んだワイン
もあります。 それがChâteau Chasse-Spleen でした。
Spleenというと、フランス文学の知識が少しある人ならば、
「ン?」と思うでしょう。筆者もその一人でした。 ひょっと
するとこの名は、ボードレールの”Spleen de Paris”
(パリの憂愁)に由来するのではないだろうか。
好奇心に打ち勝てず調べてみると、やはりそうでした。
そしてその瞬間、この素敵な意味を持つワインと、会ったこと
もないシャトーのオーナーに大変好意を持ってしまいました。
シャス・スプリーンは、今から10余年前、確かに名前だけで
選んだワインですが、幸い味わい的にも優れたものでした。
シャス・スプリーンの意味については次回にお話します。
(続く)
Château Chasse-Spleen 2000年
(2013年1月24日YM記)