友人から信州みあげのルバーブを頂きました。
フランス語ではrhubarbe(リュバルブ)。見た目はフキと
そっくりのタデ科の植物で、葉の軸を食べます。軸は
緑色で、きれいな赤に色づきます。加熱するとフキより
ずっとやわらかくて、さっぱりとした食感が楽しめます。
(Photo: Rhubarbes)
ルバーブは酸味の強い植物ですが、砂糖との相性が良い
のでパイやジャムにされることが多いようです。でも今日は
誰でも簡単に作れる夏の一品、ワイン煮をご紹介します。
「作り方:
鍋にルーバーブを入れ、ひたひたになるくらいワインを
入れます。それに適量のグラニュー糖とレモン汁を加え、
シナモンを入れ20分ほど煮ます。
よく冷やしてデザートとしてお召し上がりください。
*使用するワインは赤・白どちらでもいいですが、
軸がきれいな赤に色づいている時は、その色を生かす
ため白ワインのほうが良いでしょう。」
(料理本ならこんな感じでしょうか)
ルバーブに初めて出合ったのは、フランスのアルザス
地方でした。
もう20年ちょっと前になりますが、仕事がらみでアルザス
南部の小都市に行き、民宿に一泊したことがあります。
そこはホテルもないような、のどかな田舎町でした。
この民宿のおばさんが大変親切な人で、あれやこれやと
気を遣ってくれた上、出発の日には、昼食にまでよんで
くれました。
その昼食のメニューが、キッシュ・ロレーヌと、庭から採って
きたルバーブのタルトで、どちらも私にとっては初めての
味でした。
塩味のキッシュロレーヌは食事用で、甘く味付けした
ルバーブのタルトはデザート用です。
今思うと、どちらもフランス東部の産物であり、バランス的
にも大変いい組み合わせだったと思います。
『タルトだけで昼食を構成するなんて、なんておしゃれなん
だろう』と、この時以来、私は大のタルトファンになりました。
昼食後、民宿のおばさんに聞かれるままに、このあと
セレスタ(同じくアルザスの小都市)にいる友人のところに
行くと言ったら、おばさんは、物も言わずに庭に降り、
花を摘み、手早くまとめ、おみあげにと持たせてくれました。
さらに娘さんが、汽車の駅まで車で送ってくれました。
駅に着き、娘さんに丁重にお礼を言い「さようなら」を
言おうとすると、彼女は、『ひとりで待つのは寂しい』
からと、汽車が来るまで一緒に待ってくれました。
何かじんとくるものがありました。
私のルバーブの思い出は、見知らぬ土地で受けた
何気ない人の優しさにつながっているのかもしれません。
(2012年7月20日YM記)