前回(2017-05-30日投稿)の続きですが、「まずはしっかりと観察し、それに誇張を加える。しっかりと観察すると、今まで見過ごしていたものが見えてくる。
そこにユーモアの味付けは忘れないように、」と作家は語ります。
そこにユーモアの味付けは忘れないように、」と作家は語ります。
次に大事なことは実践、そしてトライすることです。
「ともかくやってみること。
やってみて、それでうまくいけばいい。うまくいかなければまた別のことに挑戦すればいい。人生は試行錯誤の繰り返しである。」
Essayer – essayer - essauer トライ・トライ・トライ
イヴァンさんはこのことを実に簡潔におっしゃいましたが, これはとても大事なポイントだと筆者は思います。一つのことに捕らわれないということは、他から加えられる束縛からの解放でもあり、自分の固定観念からの解放でもあります。つまり前半でも出てきた究極の自由につながります。
「もし」と思うようなことがあったら、やってみよう。
アートは素晴らしい遊びの学びの場です。人生もそんな風にトライしてみたら?何故駄目なの?」
そしてもし ・・・ (やってみようよ)
何故駄目なの?
(この部分のフランス語)
Et si ... (Essayer)
Pouquoi pas
Pouquoi pas
ワインの瓶もアートになっていました。
瓶をじっくりと観察していると、至る所に遊びがあるのに気づきます。
たとえば「イバン/ワイン」とカタカナで書かれた部分ですが、これはアナグラムになっています。アナグラムとは文字を入れ替えて、別の言葉を作ることです(たとえばNavi ⇒ Ivan )。
イバン/ワインの場合は、「イ」と「ン」が入れ替わっていて、「バ」と「ワ」を同音と考えると、片仮名のアナグラムになります(音が違うって? ドイツでワインのことはバインと言うし、イヴァンは別の国ではイワンになりますから、おまけしておいてくださいね!)
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イヴァンさんは代表的なフランスの日刊紙「ル・モンド(Le Monde 」や「リベラシオン(Libération」で、イラスト(Dessin de Presse)を描いていました。 デサン・ドゥ・プレスと言う聞きなれない言葉に筆者も興味をそそられました。
イヴァンさんは代表的なフランスの日刊紙「ル・モンド(Le Monde 」や「リベラシオン(Libération」で、イラスト(Dessin de Presse)を描いていました。 デサン・ドゥ・プレスと言う聞きなれない言葉に筆者も興味をそそられました。
具体的に言うと、イラストには3種類あります。
1. 挿絵 (テキストに沿って入れる絵)
2. 風刺画 (caricature, dessin satirique, dessin politique
− さすがフランス、いろんな言葉がありますね。)
3. プレス・デッサン(プレス・イラストレーション)
2. 風刺画 (caricature, dessin satirique, dessin politique
− さすがフランス、いろんな言葉がありますね。)
3. プレス・デッサン(プレス・イラストレーション)
イヴァンさんが描いていたのは、3番目の、写真には撮れないものをイラストで表現するプレス・デッサンと呼ばれるジャンルです、現在消滅してしまったものや社会的な事象を表現するために使われるイラストです。たとえばWikipedia の機能がどうなっているかの説明や、映像は存在したとしても、も見た目に気持ちのよくない体内映像などは、これで表わします。
日本でも有名になったシャルリ― :・エブド(Charlie Habdo)の絵は風刺画のジャンルに入ります。
下写真をごっらんください。 ボードの下半分に書かれているのは次の言葉です。
1)暴力
2)セックス
3)迷信
4)民間伝承
5)信仰
6)人間の愚かさ
2)セックス
3)迷信
4)民間伝承
5)信仰
6)人間の愚かさ
『マンガや風刺画の場合、暴力・セックス・迷信・民間伝承・信仰・人間の愚かさなどが強調されていることが多いが、自分の作品にはそれらはほとんど出てきません。興味がないとは言いませんが、それらは自分の主要な分野ではあないからです。私は漫画家でもないし、風刺画家でもありません。』シャルリーエブドをどう思うかという質問に対する作家の答えです。
ー人は尊重しなければいけない― 作家の基本姿勢です。
始めに観察ありき、観察とは他の人や物に対して注意を傾けるることであり、
注意を傾けるということは、すなわち知性であり、愛であると作家は結びました。
2時間半にわたりIvan さんは生き生きと話し続けました。しかも絵を描きながら! 桁違いのスケールの芸術家に出会い、わずか10人ほどで「囲む会」を持てたことは大きな喜びです。次回は11月に続きを行います。
参加くださったA教授の感想を引用します。
『2時間半にわたりとても具体的、実践的な創作の素晴らしい講演でした。人生観が少し変わるくらいのインパクトがありました。シグさんは偉大な画家と確信しました。11月に続編が約束されているので是非参加したいと思います。』
(2017-06-06)