2015年10月02日

松谷武判展2015と具体美術協会

松谷武判展覧会「流れ」- 1010日から大谷記念

美術館で始まります。


ご存じの方も多いと思いますが、氏は関西が生んだ屈指の

美術グループ「具体美術協会」の後期メンバーで、パリ

在住のアーティストです。使用する素材は接着剤(ボンド)。


具体身術協会については、何回かブログに書いていますが、
フランスとの関わりな度を知っている人がだんだんと少なく

なっていくので、もう一度取り上げたいと思います。


具体美術協会は、戦後まもなく自由を求める空気の
中で吉原治良氏によって関西の地に生まれた美術
ループです。創始者のコンセプト『人の真似はするな、
これまでにないものを創れ』が徹底した協会でした。

『まだ内面的な自己が確立していない若い画家が、
何か新しいものを創造しようとうととすると、素材に
走るしかなかった』、とある日松谷さんが語ってくれ
ました。こうして当時世に出始めたビニール接着剤

を使い、作品を制作し始めました。


この「具体」グループを高く評価し、フランスに紹介

したのは, 1957年来日した美術評論家ミシェエル・

タピエMichel Tapié) で、具体グループとフランスが

つながったのもこの時です。


幸運にも筆者は、松谷氏とは古い知り合いで、デク
ヴェルトのインタビューにも応じてもらったことが
あります。写真はその時のものですが、後ろの絵が
彼の作品ではないため、今まで未公開にしていました。
今回初公開です。

IMG_0616.JPG


今回の大谷美術館の展覧会の折には、彼のアフター・

トークが数回持たれるようです。次の三つの理由から

聞きに行かれることをお勧めします。


1. 具体グループの数少ない直接の会員であることと、

 戦後の日本を知っている点。

2. 松谷氏は70代後半なので、今後来日の機会が減少

 するであろうという点。

3. 具体美術協会の『今まで存在したことのないもの

 創る』という厳しいコンセプトを、徹底的に叩き込ま

 れた人である点。


WEBの発達により、極めて簡単に他人のアイデアや作品を
使用できる昨今、自分で創造したり、自分の頭で考える
労を惜しみ、安易な方に流されていく人が多い中で、
ピシっと筋の通った生き方をしておられる人です。
ご本人はいたって淡々としておられますが。

         ***

松谷氏と具体美術協会に関するデクヴェルトの過去Blog

2014年3月13日「松谷氏の作品ポンピドーセンターに」

http://blog.decouverte.jp/article/90344121.html


2012  07-12 「松谷武判氏について」



2012年6月5日「元永定正さんと具体美術協会」

http://blog.decouverte.jp/article/56258771.html

    (2015-10-02 YM)

posted by yoko at 12:54| デクヴェルト広場