松谷武判展覧会「流れ」- 10月10日から大谷記念
美術館で始まります。
ご存じの方も多いと思いますが、氏は関西が生んだ屈指の
美術グループ「具体美術協会」の後期メンバーで、パリ
在住のアーティストです。使用する素材は接着剤(ボンド)。
具体身術協会については、何回かブログに書いていますが、
フランスとの関わりな度を知っている人がだんだんと少なく
なっていくので、もう一度取り上げたいと思います。
具体美術協会は、戦後まもなく自由を求める空気の
中で吉原治良氏によって関西の地に生まれた美術グ
ループです。創始者のコンセプト『人の真似はするな、
これまでにないものを創れ』が徹底した協会でした。
『まだ内面的な自己が確立していない若い画家が、
何か新しいものを創造しようとうととすると、素材に
走るしかなかった』、とある日松谷さんが語ってくれ
ました。こうして当時世に出始めたビニール接着剤
幸運にも筆者は、松谷氏とは古い知り合いで、デク
WEBの発達により、極めて簡単に他人のアイデアや作品を
を使い、作品を制作し始めました。
この「具体」グループを高く評価し、フランスに紹介
したのは, 1957年来日した美術評論家ミシェエル・
タピエ(Michel Tapié) で、具体グループとフランスが
つながったのもこの時です。
幸運にも筆者は、松谷氏とは古い知り合いで、デク
ヴェルトのインタビューにも応じてもらったことが
あります。写真はその時のものですが、後ろの絵が
彼の作品ではないため、今まで未公開にしていました。
今回初公開です。
今回の大谷美術館の展覧会の折には、彼のアフター・
トークが数回持たれるようです。次の三つの理由から
聞きに行かれることをお勧めします。
1. 具体グループの数少ない直接の会員であることと、
戦後の日本を知っている点。
2. 松谷氏は70代後半なので、今後来日の機会が減少
するであろうという点。
3. 具体美術協会の『今まで存在したことのないものを
創る』という厳しいコンセプトを、徹底的に叩き込ま
れた人である点。
WEBの発達により、極めて簡単に他人のアイデアや作品を
使用できる昨今、自分で創造したり、自分の頭で考える
労を惜しみ、安易な方に流されていく人が多い中で、
ピシっと筋の通った生き方をしておられる人です。
ご本人はいたって淡々としておられますが。
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松谷氏と具体美術協会に関するデクヴェルトの過去Blog
2014年3月13日「松谷氏の作品ポンピドーセンターに」
http://blog.decouverte.jp/article/90344121.html
2012年6月5日「元永定正さんと具体美術協会」
(2015-10-02 YM)