2019年08月27日

松谷武判ポンピドーセンターで回顧展/Takesada MATSUTANI au Centre Pompidou


嬉しいニュース

関西出身のアーティスト、松谷武判さんの個展が今パリのポンピドーセンターで行われています。1950年代後半から現在までの作品を集めた回顧展で、2019年9月23日までです。


松谷氏は、戦後まもなく日本に生まれた前衛的な美術グループ「具体美術協会」の後期メンバーで、50余年前からパリに住み、活躍するアーティストです。2015年には彼の作品のひとつがポンピドーセンターに入っています。

「具体派」グループについては、デクヴェルトのブログに何度か書きましたが、だんだんと知らない人も増えているので、もう一度触れたいと思います。


「具体美術グループ」について
1954年(昭和29年)抽象美術の先駆者・吉原治良をリーダーとする若い前衛芸術家のグループが阪神間に結成されました。これが「具体」グループです。
リーダーの吉原治良が掲げたグループのモットーは「人のまねをするな、今までにないものを創れ」でした。デクヴェルトが松谷氏にインタビューした時も、1980年代に当時のフランス総領事と共に故元永定正氏を訪ねた時も、開口一番出てきたのはこの言葉でした。


吉原氏はこの姿勢を徹底的に貫いた人で、この点では厳しい人だったようですが、そのおかげで蒼々たるメンバーが世に出て活躍をしています。


デクヴェルトのインタビューの折、松谷氏は次のように語ってくれました。
『まだ内面的な自己が確立していない若い画家が、何か新しいものを創造しようとすると素材に走るしかなかった。』こうして氏は当時世に出始めたビニール接着剤を使い、創作を始めました。


「具体」とフランスとの関わり

この「具体」グループを高く評価し、フランスに紹介したのが、フランスの美術評論家ミシェル・タピエ(Michel TAPIÉ) でした。当時のフランスは、Michel TAPIÉ等が提唱するアンフォルメル(非定形)芸術が注目をあびていた時代でした。

1957年来日したタピエは、日本で「具体」グループの芸術と出会い、その質の高さに驚き、絶賛の言葉を送っています。
当初タピエは、アンフォルメルを日本に紹介し、何かしようと提案するつもりだったようですが、来てみると、質の高い「具体」の芸術が、既にしっかりと存在していたというのが事実のようです。
戦後わずか10年程の日本に、こんなにも才能と気骨に溢れた若い芸術家たちが多出したことも嬉しいですし、それが阪神間で生まれたというのも嬉しいことです。



折しも神戸の県立兵庫美術館では「ぐたいと日本の前衛」と銘打った美術展(山村コレクション)が開催中です。
(2019年8月3課~9月29日(日)まで。
嬉しいツイン「グタイ展」、お見逃しありませんように!

なお具体グループに関する過去のブログは次のとおりです。


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 右端が松谷さん (2012年神戸)


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作品Youtube 

  


(2019年8月26日 −Ecole de français "Découverte")

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posted by yoko at 11:38| デクヴェルト広場