関西出身のアーティスト、松谷武判さんの個展が今パリのポンピドーセンターで行われています。1950年代後半から現在までの作品を集めた回顧展で、2019年9月23日までです。
松谷氏は、戦後まもなく日本に生まれた前衛的な美術グループ「具体美術協会」の後期メンバーで、50余年前からパリに住み、活躍するアーティストです。2015年には彼の作品のひとつがポンピドーセンターに入っています。
「具体派」グループについては、デクヴェルトのブログに何度か書きましたが、だんだんと知らない人も増えているので、もう一度触れたいと思います。
1954年(昭和29年)抽象美術の先駆者・吉原治良をリーダーとする若い前衛芸術家のグループが阪神間に結成されました。これが「具体」グループです。
吉原氏はこの姿勢を徹底的に貫いた人で、この点では厳しい人だったようですが、そのおかげで蒼々たるメンバーが世に出て活躍をしています。
『まだ内面的な自己が確立していない若い画家が、何か新しいものを創造しようとすると素材に走るしかなかった。』こうして氏は当時世に出始めたビニール接着剤を使い、創作を始めました。
「具体」とフランスとの関わり
この「具体」グループを高く評価し、フランスに紹介したのが、フランスの美術評論家ミシェル・タピエ(Michel TAPIÉ) でした。当時のフランスは、Michel TAPIÉ等が提唱するアンフォルメル(非定形)芸術が注目をあびていた時代でした。
1957年来日したタピエは、日本で「具体」グループの芸術と出会い、その質の高さに驚き、絶賛の言葉を送っています。
戦後わずか10年程の日本に、こんなにも才能と気骨に溢れた若い芸術家たちが多出したことも嬉しいですし、それが阪神間で生まれたというのも嬉しいことです。
(2012-06-05)http://blog.decouverte.jp/article/56258771.html
(2014-03-13)
http://blog.decouverte.jp/article/90344121.html